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「イスラム国」はテロの元凶ではない [読書メモ2017]

『「イスラム国」はテロの元凶ではない』 川上泰徳 2016/12

「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想 (集英社新書)
著者は中東ジャーナリスト。 「イスラム国」は混乱の原因ではなく結果であるという本。

 重要なのは、組織的なつながりがないのに、「イスラム国」に忠誠を誓う者がテロを起こしていることであり、「イスラム国」が、それを「カリフ国の戦士によるジハード」と「認定」していること。
 実際に「イスラム国」とつながっているものと、つながっていないものの2種類があることを認識しなければ、問題の本質を見失う。しかし、「イスラム国」側も、欧米側も、ともにその区別を取っ払っている。 政治指導者は、自身の政治的な意図を実現する機会として利用するということかもしれない。そこには、9.11の後にブッシュ大統領がイラク戦争を始めて、現在の混乱の原因をつくったことと同様の危うさがある。
 私たちはいま、「イスラム国」に呼応する「個人・小集団テロ」という”現象”を目にしている。アルカイダでは現実とならなかった。それに対して「イスラム国」の「戦争」は、遠く離れた欧米のイスラム教徒の若者たちを行動に駆り立てるほどのリアリティを持っている。
 残虐さは別として、「イスラム国」の行動主義と情報発信の手法は、「アラブの春」の特徴を踏襲している。「アラブの春」が終わって「イスラム国」が出てきたのではなく、「アラブの春」の流れの中で出てきたのである。
 「イスラム国」は、シリア内戦に参入するまでは、「アラブの春」とは関係ない、イラクのスンニ派地域に限定された目立たない組織だった。「イスラム国」は一貫して反ムスリム同胞団である。中東での同胞団勢力を排除したい国は、主義・主張と関係なく、陰で「イスラム国」を支援する。
 「イスラム国」の軍事を統括するのはイラク軍元将校。特に1人が情報将校。 「イスラム国」の原点は、イラク戦争後に反米ジハードを開始した、ヨルダン人のザルカウィが率いた「タウヒード・ワ・ジハード」。
 「イスラム国」は、イラクの新政権で排除された、旧治安情報機関と協力・連携している。
 シーア派マリキ政権による抑圧政策に対抗してスンニ派部族が反乱を起こす動きがなければ、「イスラム国」がモスルを制圧することもなかった。
 米国が進める対「イスラム国」軍事作戦は、「スンニ派の受難」を解決する方向ではなく、イラクではシーア派を支援し、シリアではクルド人を支援して、「イスラム国」を排除する方向に向かっている。これでは問題は解決しない。
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