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奨学金が日本を滅ぼす [読書メモ2017]

『奨学金が日本を滅ぼす』 大内裕和 2017/02

奨学金が日本を滅ぼす (朝日新書)
著者は中京大学国際教養学部教授。 学生世代の貧困問題を扱った本。

 大学生の奨学金利用者の割合は、1996年の21.2%から2012年には52.5%に上昇した。
 月に8万~12万円の奨学金を受けている学生が大勢いる。なかには月に17万円以上借りている学生もいる。
 大学生の奨学金利用の大部分は文科省所管の「独立行政法人・日本学生支援機構」(元育英会)の奨学金。すべて貸与型で、無利子(第一種)と有利子(第二種)がある。
 2016年の国立大学の授業料標準額は53万5800円と、1969年の45倍。 1960~70年代の安かった頃(年10万円以内)とはまったく異なったものとなっていることを、とくに高齢の皆さんには認識していただきたい。
 奨学金利用率の急激な上昇は90年代半ば以降。注目すべきは、学費負担を支えている親の所得減少。
 大学院への進学率は2010年の15.9%をピークに減少、2015年には12.2%。
 現在の「日本学生支援機構」が行っている奨学金の回収は、育英会の時とは全く違い、とても厳しい。滞納1~3ヶ月で本人や保証人に電話による督促や通知がなされる。 返還の猶予制度があることを6割が知らない。
 奨学金の借り入れは、多い人で600万円以上。 返済が結婚や出産、子育てに影響を与えている。
 2013年の奨学金問題対策全国会議結成以降、大きな制度改善が行われた。延滞金の利率は年10%から5%に軽減され、返済猶予期限は5年から10年に延長された。
 奨学金問題について、高校教員や大学職員の認識が十分でない。その理由は、長い間教員は奨学金返済の「免除職」だったから。現在は免除職ではなくなった。
 2016年12月、政府は「給付型奨学金」の導入を決定した。2018年度(一部17年度)からの開始。しかし1学年2万人という数字は、奨学金の貸与者132万に対してごく少数。
 貸与型奨学金の改善で優先されるべきは、延滞金の廃止と返済猶予期限の撤廃。
 日本の大学進学率は51%で、OECD諸国の中でも低い方。韓国71%、アメリカ70%、豪94%。
 給付型奨学金制度と大学授業料値下げの財源で求めるべきは、富裕層と大企業への課税。