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みんなの検索が医療を変える [読書メモ2017]

『みんなの検索が医療を変える』 イラド・ヨム=トフ 2017/05

みんなの検索が医療を変える:医療クラウドへの招待
著者はマイクロソフト・リサーチ主席研究員。 大量のネットデータが医療の改善に役立つという本。

 人は、平均1日に5-8回(ネットの)検索をする。
 受動的な、邪魔にならない観察、たとえばネットデータに由来する観察が、ときには唯一可能なデータの収集法である。がんに罹った子を持つ両親が診断直後の数週間にどんな経験をするのかを調べる場合、被験者の多くは実験に参加しないしアンケートすら仕上げることができない。「打ちのめされた」状態にあり、途方に暮れているからである。
 自分の収入や体型についての嘘はネット上にありふれている。嘘をつくもっともな理由があるとき、人は嘘をつく。しかし匿名となるとこうした誘因はなくなる。検索エンジンで調べ物をするときやヤフーアンサーズ(日本ではヤフー知恵袋)などの掲示板で匿名になるときなどである。
 (医療)サイトのなかには不注意なものもあり、あらゆる可能性を挙げているが、実際そうしたものは極めて稀かありえないものだったりする。このため多くの人がいわゆる「サイバー心気症(病気であるとの思い込み)」に罹っている。
 より悪化する方法をアドバイスしているもの(サイト)もある。とくにある種の精神疾患、たとえば拒食症に当てはまる。
 「ウェルテル効果」は、自殺の記事が「模倣」自殺につながるという現象を表現するのに使われている。 拒食症についても似たようなプロセスが作用している、と考えている。
 検索エンジンで薬を検索する人数と、アメリカにおけるその薬の処方箋の発行数には高い相関がある。 医薬品の検索をした人のうち、十分な数の人が後に副作用を検索したのであれば、副作用の存在を示すだろう。
 大量のネットデータは前例のない機会をもたらす。薬の有害反応、病気の新たなリスク要因、感染症の発生をモニターして公衆衛生の改善に貢献する。 医者にかかる前にオンラインで検索するという事実は、医学的問題の迅速な発見を実践可能なものにする。

労基署は見ている。 [読書メモ2017]

『労基署は見ている。』 原論(はら・さとし) 2017/03

労基署は見ている。 (日経プレミアシリーズ)
著者は元労働基準監督官(27期)。 労基署による監督業務の実態などを紹介する本。

 労働基準監督署のことは、内部では「監督署」と呼んでいる。 警察署や検察庁からは「労基」と呼ばれることが多い。 
 監督署が事業場の労働条件などの確認をして指導を行うことを「監督」と呼んでいる。 「監査」や「調査」などと説明している解説は信頼性に欠ける。
 また、監督署では、事業所とは呼ばず「事業場」と呼ぶ。労働基準関係法令ではすべて事業場としている。これが、同じ都道府県労働局の組織であるハローワークでは「事業所」と呼んでいる。
 労働基準法第101条1項により、監督官は裁判所の許可などなくても立ち入る(臨検)権限を得ている。拒否すれば、同法違反として処罰の対象となる。
 平成20年前後から臨検監督は原則予告なしとなった。
 労働基準監督官は、特別司法警察職員として、裁判所から逮捕や強制捜査などの許可証をもらって直接捜査を行い、検察官に事件を送致することができる。大手広告代理店に強制捜査を行ったのは、この権限によるものである。
 監督官の採用試験は、実は2系統ある(法文系と理工系)。基本的には採用されてしまうと区別はなくなる。
 労働基準行政の職員は、監察官だけでなく事務官も含めて原則2年で異動する。
 労働基準監督官は4000人弱。その内現場に出るのは3000人程度。一方、全国の事業所数は592万7000件となっている。監督官1人当たり約2000もの事業所を見なければならない勘定となる。

6月第2週に読んだ本(まとめ) [既読一覧]

『「型破り」の発想力』 齋藤孝 2017/03
『文章が一瞬でロジカルになる接続詞の使い方』 吉岡友治 2017/04
『電子マネー革命がやって来る!』 安達一彦 2017/04
『使っても減らない5つのお金のルール』 黒木陽斗 2016/02
『自由貿易は私たちを幸せにするのか?』 上村雅彦ほか 2017/02
『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』 西岡壱誠 2017/04

「型破り」の発想力 [読書メモ2017]

『「型破り」の発想力』 齋藤孝 2017/03

「型破り」の発想力   武蔵・芭蕉・利休・世阿弥・北斎に学ぶ
著者は明治大学文学部教授。 日本人は昔からクリエイティビティがあったのだという本。

 日本人は長らく、自分達が作るものは、しょせんは進んだ欧米文化の真似やアレンジに過ぎないと、低い自己評価をしてきた。でも、世界はそうは思っていなかった。
 価値の創造とは、あるものをより良くする「ひと工夫」の発想力。
 江戸時代に至るまでの日本文化を振り返ってみれば、そこには多くの創造的な仕事や、新しい発想が生み出されてきた。
 世阿弥は能を完成させ極意を『風姿花伝』という書にまとめた。 最も有名なのが「秘すれば花なり」という言葉。花とは、珍しいこと、観客が思いもよらないこと。
 「初心忘るべからず」と世阿弥が『花鏡』で書いた真意は、「初心者の未熟を自覚せよ」という自己満足に対する戒めだった。
 (集中力の)メリハリをつけるのに有効なのが、「型」、つまりスタイルを身につけること。
 外国人が宮本武蔵を高く評価するのは、彼が剣術という非常に具体的な技を追求する行為を通して、悟りの境地に至る道筋をつけた、ということ。
 『五輪書』に「観見二つの眼をとぎ、少しもくもりなく・・」とある。「観見二つの眼」はマクロとミクロ。常にこの異なる二つの眼を意識的に持つことで、漏らすものがなくなるというのが武蔵から得られるアドバイス。
 「吟味」「工夫」「鍛錬」。武蔵の文章の締めくくりは、ほとんどこの3つ。「よくよく吟味すべし」。
 松尾芭蕉を象徴する言葉が「不易流行」。「不易」とは変わらない普遍的なもの。芭蕉は新しいものの中に普遍的なものを見つけることをよしとした。 俳句の本質は、新しさ、「意外性」。
 芭蕉は旅先で句会を開き、新たな芭蕉ファン(門人)が加わった。芭蕉にとって旅は、自分の創作活動と門人の獲得と、一石二鳥のものだった。
 なぜ日本人はクリエイティブな民族なのか、という問いの答えの一つに、日本人が(千利休の)「わび」という美意識を持ったことが挙げられる。

文章が一瞬でロジカルになる接続詞の使い方 [読書メモ2017]

『文章が一瞬でロジカルになる接続詞の使い方』 吉岡友治 2017/04

文章が一瞬でロジカルになる接続詞の使い方
著者はインターネット講座「VOCABOW小論術」校長。 接続詞の効果的な使い方を教える本。

 小説のような物語を表す文章では、時間の流れに沿って動くので、接続詞はいらない。
 情報を伝えたり意見を述べたりする文章では、読者にとって当然のように予想できる展開にはならない。こういう場合に接続詞が必要になる。
 たとえて言えば接続詞は道路標識。 文章の見通しが良くなる。 (文章の)美観より理解しやすさ。
 新聞記事は論理的ではない。記事は基本的に時間の流れに従うので、接続詞は少なくていい。 新聞コラムは意見文のはずだが、かなり特殊なスタイル。散漫な構成になりやすく、首尾一貫性も理屈も曖昧で、よい文章表現とは言えない。
 文意を明確にするなら、「そして」や「・・・が」は、使わない方がいい。
 「また」は優先順位を表せない。なるべく他の接続詞に言い換えるのが賢明。
 文章では「とても」「非常に」などの強調表現はあまり役に立たない。 「とくに」はイメージを強調する。
 「やはり」はハイ・コンテキストな言葉、つまり互いの間で共有するものがたくさんあるときに成り立つ接続詞。親密な関係でないときには、伝わりにくい。
 接続詞を明確にすれば、前後の文のつなぎが明確になり、筆者のとらえ方もはっきりする。 接続詞をきっちり使えるかどうかは、いい文章を書いているかどうかの一番の目安になる。

電子マネー革命がやって来る! [読書メモ2017]

『電子マネー革命がやって来る!』 安達一彦 2017/04

電子マネー革命がやって来る!
著者はインテリジェントウェイブ創業者。 各国の電子マネー関連の開発・普及度合いなどについての本。

 アップルペイは国内の決済サービスとしてSuicaなどの電子マネーを必ず通すことになった。一方ロンドンの地下鉄などでは、アップルペイに登録されたクレジットカードのまま改札を通過する。つまり欧米はクレジットカード中心、日本ではサーバー型電子マネー中心のサービス。 今回のアップルペイは日本独自のガラパゴス仕様。
 アップルペイへの対応によりSuicaは「サーバー型電子マネー」に生れ替わった。
 2015年の消費者市場全体の19.5%がキャッシュレス(電子マネー、クレジットカード、デビットカード)で決済された。 既に現金比率が20%までに低下したスウェーデンなど北欧諸国と比べれば、日本はフィンテックと呼ばれる金融サービスの視点からは後進国。
 中国人観光客の爆買い商品の多くは、中国においてECサイト(タオバオ)で転売されていた。
 アップルペイやサムスンペイは中国市場ではアリペイなどに歯が立たなかった。 NFCチップを搭載したアップルペイは値段の高いポス端末を小売店は必要とする。一方アリペイはQRコードを読み取らせればそれで決済は終わり。さらにMMF預金金利がつく。
 (ブロックチェーン方式の)仮想通貨はサーバー型電子マネーの一つの変形であるとも考えられる。
 ケニアはフィンテック決済の最先端の国。ケニアのGDPの87%に相当する送金がサーバー型電子マネー「エムペサ」によりなされた。
 スウェーデンの主要銀行では過半数の支店で既に現金の取扱いを停止している。 デンマーク政府は2030年までにキャッシュレス社会を実現すると宣言している。
 Edy、nanaco、WAONなども早晩、サーバー型電子マネーへの移行を余儀なくされるだろう。

使っても減らない5つのお金のルール [読書メモ2017]

『使っても減らない5つのお金のルール』 黒木陽斗 2016/02

シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する使っても減らない5つのお金のルール
著者は投資家。 「生き金」としてのお金の使い方を教える本。

 お金持ちは、お金を使って、使った額以上にお金を増やす。
 かつてエリートといわれた人たちが定年になって、お金に困った生活をしているのは、死に金を使っているから。価値のないもの、お金を生まないものに使ってしまうから、手元に残らない。
 シリコンバレーのビジネスエリートと交流して見つけた5つのルール: ①時間を買う ②ノウハウを買う ③人脈を買う ④希少性を買う ⑤お金を生む資産を買う。
 シリコンバレーのビジネスエリートやビル・ゲイツは飛行機のビジネスクラスには乗らない。ビジネスクラスやファーストクラスの料金を払っても、フライト時間が短縮されるわけではないから。つまり費用対効果が非常に薄い。
 「可能な限りのことをアウトソーシングして仕事に集中したほうが、出世する」と考えるのがビジネスエリート。 したがって、多くはホームヘルパーを雇い、家事を任せる。
 日系企業で違和感を覚えたのは、ランチミーティングと称して親睦会を開いていたこと。外国人は「ランチミーティング」といったら立派な仕事であって、親睦会や接待は別に用意されるものと認識している。
 ビジネスエリートはテレビを見ない。理由は「時間あたりの情報量が少ない」から。新聞も読まない。情報が「遅い」ため。 彼らの情報収集はインターネットと読書。
 企業がコンサルティング会社や会計事務所と契約するのも、「お金で人脈を買う」のと同様の狙いがある。
 ビジネスエリートが買うのは、ポルシェとロレックス。 希少性があり値段が下がらない。 いざというときに現金化しやすく、価値が減らないような買い方をするのがポイント。
 アーリーリタイアを目指すビジネスエリートたちは、早くから不動産を買い集める。彼らにとって最良の「生き金」の使い方の一つが不動産投資。最悪の「死に金」は、大金を出して「お金を生まない資産」を買うこと。 ビジネスエリートは、マイホームを積極的に買わない。

自由貿易は私たちを幸せにするのか? [読書メモ2017]

『自由貿易は私たちを幸せにするのか?』 上村雅彦ほか 2017/02
自由貿易は私たちを幸せにするのか?
著者は横浜市立大学教授。 国際貿易協定に反対する意見をまとめた本。

 世界には無数の自由貿易が網の目のように張り巡らされ、交渉中も含めれば300を超える。 WTOが停滞する中で到来したのがメガ経済連携協定(FTA)時代だ。
 ISDS(投資家・国家間の紛争処理)の起源は、1950年代のアジア・アフリカ独立の時代にまで遡る。独立を果たした国々が外国人財産を国有化するケースが増えたため導入されるようになった。その後、主に先進国の投資家や企業が投資先の途上国での予期せぬ制度変更や規制変更、土地の接収などへ対応するセーフティネットとして使われてきた。
 「自由貿易」と言われれば、国家間の貿易のように聞こえる。だが実際には世界貿易の60%は多国籍企業内部で生み出されている。
 TPPが目指したものは、(多国籍企業が)自社の製品を最大の利益を確保できる条件のもと、最速で消費者まで配達するシステムの完成である。
 当初、TPPが「貿易」問題だと定義づけられていたために、多国籍企業の経営戦略上の意味が理解されなかった。
 結局、メガ経済連携協定で確実に利益が生まれるのは、多国籍企業だけだ。
 アメリカでは「TPPが妥結すれば、日本の企業から(ISDS条項で)アメリカ政府が訴えられるリスクが格段に増す」との主張も非常に多く、TPP反対の大きな理由であった。
 メガ経済連携協定は、すべてこの半年で停滞あるいは頓挫に近い状態となった。それは人びとの意思を顕著に表している。その成果が一部の富裕層にのみ還元される社会に対して、多くの人々が「もうたくさんだ」と言っているのだ。

現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術 [読書メモ2017]

『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』 西岡壱誠 2017/04

超カンタンなのにあっという間に覚えられる!  現役東大生が教える 「ゲーム式」暗記術
著者は東京大学2年生。 ゲームとして暗記する方法を教える本。

 暗記で大変なのは「つまらない」ということ。
 同じような作業を続けるのではなく、「ひとやすみ」を入れた方が「脱馴(じゅん)化」して暗記できる。 単語ノートや単語帳で、自分でもびっくりするような面白い問題を混ぜておくことで、飽きることなく暗記をすることができる。
 英熟語ポーカー:①動詞カードと副詞・前置詞カード、2つの山を作り、それぞれ3枚引く。 ②手札(6枚)から好きな枚数を捨てて、同じ枚数を引く。 ③6枚の中で、できた熟語の多いほうが勝ち。 3枚ペア(get away withなど)ができていれば、ペア数に関わらず勝ち。
 「人と話す」というのは、暗記において非常に重要なファクター。
 単語マジカルバナナ:①直近で暗記した単語を1つ思い浮かべる。 ②その言葉と関連する言葉を思い浮かべる。 ③さらにその言葉と関連する・・と繰り返し10回連鎖できればクリア。
 成績のいい人のノートは、きれいで理解しやすい。「暗記」は何度もノートを見返してこそできるもの。

6月第1週に読んだ本(まとめ) [既読一覧]

『年下上司にイライラしない40の技術』 門脇竜一 2017/04
『脳はなぜ都合よく記憶するのか』 ジュリア・ショウ 2016/12
『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』 津田久資 2015/09
『効く健康法 効かない健康法』 岡田正彦 2015/08
『あいうえ築地の河岸ことば』 福地享子 2017/03
『医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣』 長尾和宏 2016/10